• 過剰歯・小帯付着異常

4回前のブログの続きです。

 

過剰歯について

日本歯科大学附属病院小児歯科による、過剰歯に関する調査結果からの抜粋ですが、

*発症部位:上顎切歯部(真ん中から数えて左右2本目まで)が98.3%

 その他として下顎切歯部、上下顎臼歯部(4番目から7番目)、犬歯部(糸切り歯)

*歯冠(頭)が通常と同じ方向の場合は、普通に浸潤麻酔(歯ぐきに注射)を行って抜歯、反対を向いたり全部が骨の中にある場合は、全身麻酔下での抜歯が多い。

*抜歯しても、約3割に萌出遅延、捻転、正中離開などの問題がみられた。

*抜歯時期について

早期の抜歯の方が、前記した問題が起こりにくいので、

できれば6歳前には診断し抜歯するのが望ましい。

とのことでした。

しかしながら、幼稚園児であれば年長さん前に、何も問題がないのにレントゲン撮影を勧めることは実際には難しいです。

ある程度は遺伝も関係していますので、保護者や兄弟姉妹の履歴を聞いて検討し勧めるしかないかもしれません。

 

舌小帯の付着異常

①新生児期から乳児期前期に積極的な手術的治療を行わない。

②3歳以降に問題がある場合、機能訓練や構音治療による対応にて

 経過を観察する。

③手術の必要性があるか否かは4~5歳に判断する。

④術後の機能訓練や構音治療が必要。

舌小帯とは、舌の裏側(下)に付着した筋であり、通常より前方についていたり、短いと、舌を前方に出しにくくなり、重度だと舌先がハート型になります。当然、英語等の発音が不明瞭になりがちです。

軽度:舌の先を口の縦の長さの2/1以上あげられる

中等度:2/1以下しかあげられない

重度:下顎の歯よりもあがらないか、全くあげられない

で程度を判定します。

年齢と問題(哺乳・発音など)の程度を検討して手術するかしないか、また、切っただけでは必ずしも良くなるわけでなく、前後に機能訓練や構音治療が必要です。

ご心配がある場合、やはり大学附属病院の小児歯科専門医に診てもらうのが一番と思います。

 

上唇小帯の付着異常

上の真ん中の左右の歯の間にいつまでもあると、歯の間が開いたまま(正中離開)になってしまうことがあります。

切ってもすぐに良くなるわけではなく、その原因を見極めることが大事で、原則として乳歯犬歯が永久歯犬歯に交換するまで経過観察するそうです。

なぜなら年齢が上がるにつれ、歯ぐきが高くなり、結果的に付着位置が下がる(歯から離れる)ことが多いからです。

 

これからも日常診療や3歳児健診のときに、歯だけでなく、軟組織についても注意して診なくてはと、あらためて思いました。

 

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